野狐消暇録

所感を記す

2020-01-01から1年間の記事一覧

井伏鱒二の文芸への共感と反発

井伏鱒二の世界が好きで、学生の頃はよく読んでいた。 「山椒魚」や「寒山拾得」、『厄除け詩集』などだ。 しかし、働き始めてからあまり読まなくなった。のみならず、井伏鱒二の世界が嫌いになってしまった。理由は自分でもはっきりしなかったが、多分、主…

蒸発

ある秋の朝に 行ってくるよと出掛けたまま 帰って来ない若い男 急に蒸発したので大騒ぎになったが みんながすっかり忘れた頃に にわか雨になって 夏の空からザッと降ってきた

針を抜く

去年の健康診断を覚えていた。採血の針を抜くとき、耕運機のエンジンをかける取っ手を引くように、看護師の女性に盛大に引き抜かれたのだ。 痛かった。 今年も健康診断の日がやってきて、同じ診療所で診断を受けた。 採血のとき、針を抜く直前で言った。 「…

「銀河鉄道の夜」再読 - 命を懸けた自己犠牲

昔読んだときは、宮澤賢治の詩の世界に関心があったので、銀河鉄道の夜の持つイメージの豊かさが関心の中心にあった。 今回、改めて読んでみて、作品のテーマとして、「命を懸けた自己犠牲」という事があるんじゃないかと思った。 例えば、サソリの挿話。色…

ひとりベーシック・インカム

ガイスタンディング著『ベーシックインカムへの道』 を読んで色々考えていた。 www.amazon.co.jp 元々ベーシックインカムには興味があったのだが、この本を読んで更にベーシックインカムは良いなと思っていた。それで最近、自分の生活もベーシックインカムに…

インターネットなどの通信技術による広域コミュニケーションの意味

自分はこの事について、あまりはっきりしたことが分かっていなかったと思う。テレワークを経験して初めて、この事の大きな意味が分かった。ここに書くことは、知っている人は前から知っている事だろうが、僕には発見だった。 テレワーク それは、テレワーク…

面接

「学生の頃、力を入れた事は何ですか?」「大喜利です。友人と三人で大喜利に打ち込みました」「それで得たものは何ですか?」「大喜利の答えを素早く出す力です」「当社では大喜利はしていません。当社でその力はどう役に立ちますか?」「立ちません」「で…

カフカ再読「判決」

一回目の読書 ふと思い立ち、カフカの「判決」を再読した。以前に読んだときは、一旗揚げようと外国に行き、全く仕事がうまくいかないのに、見栄だったり意地だったりで意固地になって国帰って来ない友人と、両親の店を継いで仕事も順調、結婚も決まって、「…

髪を切る

髪が伸びてきたが、なるべく床屋に行きたくない。原因は例の新型コロナウイルスである。こいつのせいで外出自粛要請がかかっている。のみならず、自分も感染したくないから、外に行きたくないのだ。どうしようかなと思いながら、長くなってきた前髪と一緒に…

パンデミック下の社会

社会主義的政策 目的 政策 再分配政策 配給の実施 家賃補助 社会の変化 非接触社会 分散して暮らす 個人の変化 筆者の個人的な経験 通勤がない 仕事机がないので購入 気分転換はできない 仕事中におやつ 夜半に買い物や散歩 動画、音楽サービスの有料会員に…

人が平等でありかつ不平等であるゆえに助け合うのである。

同じ人間であると考えるから助けあう事ができるのである。 男女だから、大人と子供だから、お金持ちと貧乏人だから、色々な理由で人間を隔てていては、助け合うことはできないのである。 しかしまた、人が置かれている立場、境遇や、できる仕事、能力、年齢…

『吾輩は猫である』の思い出

初めて読んだのは、高校生だったと思う。面白くて、最後まで読み通してしまった。読んでいるとき面白かったし、当時、本を読むのを途中で止めるということをあまりしなかったので読み通したが、人によっては途中で読むのを止める人もいるようである。それを…

愛情

恐怖で支配された人は、自律的に生きることができなくなる。 愛された人は、夢を描くようになる。

他人のように自分を導く

他人を見る時のように、自分に思いやりを持つこと。 他人のごまかしを見破るように、自分のごまかしを見破ること。 もし、他人が自分と同じ境遇にいたなら、どうアドバイスするだろうか? 思いやりを持つこと、本質的に重要な点を突くこと。 それがアドバイ…

日本大学文理学部茶道研究会の2020年初釜

人が多かった。廊下まで人が溢れていた。緋色の絨毯が敷かれた待合も、一席入った後は入れなかった。諸先輩方とゆっくり話すには、やや混んでいたので、早々に帰ることにしたが、今年は例年と違って、K君に会えたのが嬉しかった。K君は、もう何十年かぶりに…

飛躍

人は自分の足で立ち、自分の足で歩く。それはそうなのだが。 飛躍することがある。 それは誰かに愛されたときである。自分とは違うアスペクト(断面)で世界を見て生きている人がいる。その人が自分を愛する。すると、自分に欠けていたものに気付かされる。…

岩本素白「雨の宿」を解釈しつつ読む。

岩本素白の随筆を読み返している。すでに著作権の期間が切れているらしく、青空文庫で読める。文章は漢字仮名交じりの、少し昔の文章である。 ひどいというほどでもないが、国文学の先生らしく、一文がやや長い。これが読みづらく、意味を取りづらいので、自…

プロマネから見た開発者の訴え

割と、エラーログに吐かれたエラーメッセージに似てるな、と最近思った。 エラーメッセージを無視してはいけない。ちゃんと見なきゃいけない。そして、エラーメッセージから原因が分かるケースが半分、別の起因でそのエラーメッセージになっているケースが半…

作業者のスキル、担当作業、責任の一致

良く、「経理に詳しい者を運転手にしてはならない。それは間違った人材配置だ」ということを言うが、プロジェクトでも一緒である。作業者のスキルと担当作業を一致させることが大切である。 失敗例 デザイン担当者にXDでデザインを作ってもらい、フロントエ…

2020年の抱負

仕事 昨年はどうだったか 初めてプロジェクトマネージャの仕事をさせてもらった。自分が教科書のように使っているスティーブ・マコニルの『Rapid Development』(訳:高速開発)という本を見ながらやってみた。それで消費税の増税対応は無事に終わったのだが…

ドリトル先生はSFである。

原書の『ドリトル先生 アフリカ行き』を読み終わった まず、めでたい。読み終わるとは思っていなかった。何しろ、英語の本を最後まで読み切ったことが、生まれてこの方一度もなかったのである。この喜びを誰に伝えようかと思って、母に電話してしまったくら…