野狐消暇録

所感を記す

ひとりベーシック・インカム

ガイスタンディング著『ベーシックインカムへの道』 を読んで色々考えていた。

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元々ベーシックインカムには興味があったのだが、この本を読んで更にベーシックインカムは良いなと思っていた。それで最近、自分の生活もベーシックインカムにしたいと思った。

ベーシックインカムは、生活に最低限必要な額を全ての住民に定期的に審査なしで給付するというものである。これにより、生活に一定の見込みが立つようになり、生活上の不安からある程度解放される。また、実際の生活上でも多少安定が見込めるようになる。

これは、収入が人生のステージで、またその人の境遇によって大きく違う一方、生活に必要な支出は少額ながら常に一定額存在するという、収入と支出の性質の違いを埋める制度である。

この制度は非常に賢い。なぜなら、必要なお金が何かという判断をお金の使用者に委ねている。周りの人間が「当人が欲しがっているもの」を当てるのは難しい。これはプレゼントが本人の要求を満たすというより、贈った側の表現のためにあることと似ている。お金を給付する側が受給者の使い道や誰に受給するかを選ぶ事はお金の効果を目減りさせる。

お金の使い道は当人に決めされた方が、最大化されるのである。つまり、金銭的な意味で効率が良い。更に、少額、おそらく日本であれば、5万円程度を毎月支給するというのが最終的な完成形になるのではないかと思うが、毎月5万円だけ持っていて、贅沢に暮らせる人はいない。つまり、5万円はかならず生活費で消えていく。そういう意味で、行政が直接使い道に介入しない制度であるにも関わらず、いわゆる無駄遣いという事がない。もしあったとしても、せいぜい5万円であろう。次の月には次の5万円が来る。このとき、また無駄に使うとは考えづらい。やっぱり生活費が主になるであろう。

このような制度は賢いなと思って感心していた。この本、『ベーシックインカムへの道』に書いてあったアンケートで、どのようなお金の配り方が良いか人に聞いたところ、ベースラインとなる額を配り、それ以上の収入は各人に任すという案がトップだったという。そうかなるほどと思っていたが、今日、これは自分の人生でもそうだなと思い当たった。

全くお金がないのは困る。つまり貧乏は困るのであるが、かといって、ある程度以上のお金が欲しいかというと、特に欲しくはない。つまり、僕はお金をたくさん稼ぎたいのではなく、貧乏が嫌で働いているのである。しかし、今稼いでいる額はぎりぎりの生活費よりは多い。しかしこのお金も、贅沢のために使いたいかどうか。もちろん、それもあっていいはずだが、これをベーシックインカム風に使うといいのではないかと思い当たった。つまり、最低限必要なお金はもちろん使うとして、それ以上のお金は、将来歳を取って働けなくなった時のために貯金しておくのだ。つまり、すべてのお金を生活費だと思って、生活費以上のお金があるときも、そちらに回すようにし、自分の生活レベルを上げないようにする。別に、お金があるのに、風呂無しアパートにわざわざ住もうという話ではない。ただ、贅沢をしないで、常にベースの生活が保てるようにお金を使い、またお金を稼ごうと思う。

そういう風に決めてしまえば、自由になれると思う。

なぜなら、僕のお金は生活費なのだから、それ以上の事を考える必要はない。それ以外は、自分の夢に時間を使えば良いのだ。