野狐消暇録

所感を記す

お勧めインディーゲーム

自分が最近プレイしたゲームの中で、特にお勧めなゲームを紹介したい。

第一位 Patrick's Parabox

革新的というか、ユニークなゲームだと思う。

これはまず、パズルゲームである。良く似ているゲームとしては、倉庫番が挙げられる。このゲームを倉庫番に例えると、運んでいる荷物の中に荷物を更に押し込んだり、自分が荷物の中に入ると、そこが倉庫になっていたりする。そんなゲームである。

マトリョーシカのように、倉庫にある荷物に入るとその荷物の中が倉庫になっていて、入れ子構造になっているのだ。そしてその入れ子は無限に終わらない。これは再帰と呼ばれる構造なのだが、そいつが上手にパズルに生かされている。

しかし、一番僕が感心したのは、実はそこではない。僕は今まで時折りパズルゲームを買って遊んでいたが、1/2ぐらいの確率で遭遇するある悩みがあった。

パズルが難しすぎるという悩み

例えば、同じく革新的な仕組みを持つパズルとして話題になった、Baba Is Youだと、中盤ぐらいでパズルが難しくて解けなくなってしまった。プログラミングを使ったパズル「7 Billion Humans」もチュートリアル的な初級編を通り過ぎたあたりで早くも難しさが感じられ、やっぱりゲームの途中で挫折してしまい、最後まで行きつけなかったのである。

全てのパズルゲームが途中で挫折するわけではない。例えば、ゴロゴアはエンディングまで自力で解くことができた。だが、まぁまぁの確率で最後まで解けない。

この事態をどう捉えたらいいのか。

自分としては、パズルの難易度を途中で上げないでほしい、と思う。

チュートリアルのままの難易度でというのではない。序盤の難易度からちょっと上がったぐらいの、ちょうどいい難易度のまま最後までパズルを解きたいのだ。

そうしないと、自分のように中盤以降の難易度についていけない人は、払ったお金に対し、解けるパズルの数は全体の半数ぐらいになってしまうではないか。もちろん、解かなかったパズル代?も僕は支払っているのである。なんと残念な。

最後まで楽しい Patrick's Parabox

Patrick's Parabox(パトリックス パラボックス)は、なんと、最後まで解けた。それも、基本的な仕組みは同じであるにも関わらず、手を変え品を変え、それぞれのパズルが新しく、個性的であった。ある程度同じ系統のパズルで遊ぶと次の面に進み、また新たなギミックが登場してパズルが変わる。そうやって、難易度はそのままに、色々なパズルで遊べたのだ。遂に僕の希望する難易度を保ったパズルゲームに出会えたのである。これが嬉しかった。

探索空間の狭さが嬉しい

ゴロゴアもそうなのだが、僕が最後まで解けるパズルにはある特徴がある。それは、そのゲームでとれる手の数が限られているということである。しらみつぶしで探索するという手が取れるゲームは、やっているうちに解くということができる。

取りうる手数が多く、更にその中に正解となる手が少ないということになれば、しらみつぶし作戦は時間がかかりすぎて、事実上取れない。こうなると、論理的な思考が苦手な自分にはお手上げなのである。実際、「The Bridge」というゲームでは、ノートに取りうる手を全て木構造で書いて、幅優先探索を試みて解いたことがあるが、こういうことがノートなどを使わずに、試行錯誤でなんとなくいける範囲であると、ゲームとして楽しくて、しかも解ける、いつかは解けるとなるのだ。

Patrick's Paraboxはいたずらにゲームを複雑化させずに、面白く最後まで解かせるという点で、自分には嬉しいゲームであった。

www.patricksparabox.com

第二位 両手いっぱいに芋の花を

こちらはRPGであるが、いわゆるダンジョンRPGと呼ばれるジャンルである。

ダンジョンRPGでは、拠点となる街で買い物したり、休息したりするが、この拠点は一つしかなく、そういう意味で、町から町へ旅をするドラゴンクエストなどのようなRPGとは少し違う。お店はたいてい数軒しかない。そして、広い世界を旅する代わりに、数層でできたダンジョンに潜っていくのである。

「芋の花」の特徴は、ランダム要素が少なくなっていることである。このゲームでは、敵のステータスが最初から見えるだけではない。なんと敵が次のターンで行う攻撃があらかじめ分かるのである。ご存じの方は、「Into the Breach」を想像してもらうと、ゲーム性が理解しやすいだろう。相手の手は最初から見えている。だから、それにどう対処したらいいのか、考えることができる。その、対処を考えるというのがこのゲームの面白さである。

ステータスが見えているということは、弱点も分かるので、刺突攻撃に弱い敵なら、氷柱や槍で攻撃するといった対処ができるし、炎の攻撃をしてくる敵に対し、水をかぶってダメージを減らすなんてこともできる。

このゲームではシンボルエンカウントを採用しており、しかも敵は動かないので、闘いを挑むかどうかも自分で決められる。RPGというと、レベルを上げたり、武器や魔法を手に入れてキャラクターを強くする楽しさというのが主な気がしていたが、このゲームは対策を考えて次の手を取り、いわば考えて勝つ面白さというのがゲームの中心になっている。敵の特性と自分達の武器、防具の組み合わせ、敵と味方の攻撃順序、そういうのを考える楽しさがこのゲームにはある。だからこそ、ランダム性が低いことが、ゲームにとって大切なのだ。自分はなるべくレベルを上げないように気を付けながらゲームを進めたが、それはレベルの高さで勝ってしまったら、このゲームを楽しめない気がしたからである。

playism.com

第三位 Death's Door

革新性という点では弱いのだが、純粋に面白かったので挙げる。

いわゆるゼルダライクと言われるゲームで、インディーゲームでは星の数ほどというと大げさだが、まぁ良くあるタイプのゲームなのである。

見下ろし視点でフィールドを歩き、敵と戦いながら時々ショートカットを開いてルートを開拓しながら先に進む。集団戦があったり、要所要所でボスと戦ったりする。最近遊んだ「Hyper Light Drifter」が敵の動きまで含めてそっくりで、でも、両方面白かったのである。本当に、何番煎じか分からんが、煎じ過ぎてマンネリを通り越し、逆にジャンルごと完成度が上がっているのかもしれない。Death's Doorの良さは、そのゲームとしての完成度に負うところが大きいが、しかし、雰囲気やストーリーの良さも挙げたい。このゲームの音楽は耳に残るし、役所みたいなところでリーパーという命を刈る仕事をしているカラスが主人公というのも良い。

アートワークの良さも、Death's Doorの魅力のもう半分を担っていると思う。

playdeathsdoor.com