野狐消暇録

所感を記す

伊勢佐木町の茶碗

仕事が見つかって気が楽になり、いささかほっとしていた週末、誘われて妻と出かけた。関内の伊勢佐木町を散歩していると、一軒のお茶を売っている店があり、入った。

店にはお茶の他に申し訳程度の茶碗が並んでいて、茶道で使う茶碗も三つばかりあった。買うつもりはないが見てみたくて手に取り、知った風に裏返して高台を見たり、釉薬が茶碗の外側を流れるさまを見たりした。主人はここぞと勧めてきて、どうしようかと思った。迷います、と愛想笑いで笑ってその場は逃げてしまった。でも、茶道に使う茶碗は何年か前に割れて捨ててしまい、手元には一つもないのだ。どうしよう。