観雀堂日録

炎天下 痩せた雀が 低く飛ぶ

横浜の埠頭に立つ風車

空は雲のない青であり、やや肌寒い。横浜の海岸にそれほど人出はなく、みんな思い思いに過ごしている。ベンチで休む人、大きなカメラを傍らに置き、持ってきたとおぼしい小さな椅子に腰掛けている人。通行人は、用事ではなく楽しみで歩いている人が大半であ…

敕勒歌/広がりを感じさせる詩

漢詩は昔から好きだが、おおよそ漢詩には儒教的な思想、また道教的な思想、こういうものがあると思う。少ないと思うが、王維のように仏教的な思想が入っていることもある。 「敕勒歌」という名で知られるこの詩からは、しかしそういう、儒教、道教、仏教とい…

南武線高架下

黄色く光る回転灯が行き交う車に工事中であることを告げていた。若い男と女が肩を寄せ合い、工事現場を見るともなく見やりながら何事か話している。 黒いパーカーに身を包んだ男が、頭まですっぽりとフードを被り、自転車に跨って滑るように走ってくる。 ヘ…

『教養主義の没落 変わりゆくエリート学生文化』(竹内洋 著)の感想

本を手にしたきっかけ 元々、自分は教養ということに割と関心がある方の人間であるという自覚があった。若い頃、無職で何もしていないときや、日本大学で学生をしているときに、自分が専門にするわけでもない話でも、名著だとか、重要な本だとか聞くと、読ん…

御徒町

「車が出ます。ご注意ください。車が出ます。ご注意ください」自動音声が大きめの音量で流れてくる。地下へと続く駐車場の出口から、腰の曲がったお婆さんが地上に上がってきた。お婆さんは独り言を言った。「寒い…」

抹茶を点てて飲む

妻のお使いで御徒町を訪れ、用事が終わった。せっかくだからと近所を散策しよう。心地池、通称三四郎池というのが近くにあると知り、行ってみることにした。 湯島の辺りを歩いていると、一件の茶舗を見つけた。 入ってみる。黒豆茶を最近飲んでいるのでない…

黒豹

コルトレーンの吹く音色は、一匹の毛並みの美しい黒豹が都会のホテルを静かに歩いているさまを思わせる。豹の胸には野生の心臓が鼓動している。ホテルの大理石を踏みしめる足は、草原の草を踏んでいたはずの柔らかく勁い足だ。彼に親しいものは、ホテルの外…

ローグライクアクション「HADES」の感想

最初に感じたことは、「これを繰り返すのか」であった。 敵を攻撃する 敵の攻撃を避ける この2つしかやることがなく、それがずっと続くように見えたので、ちょっとがっかりした。 それは大概のアクションゲームはそうだし、ゼルダの伝説だろうが、悪魔城ドラ…

傷つきやすい奴ら

傷つきやすい奴ら 十人一組で 傷つきやすい奴ら プラスチックの箱に入れられ 傷つきやすい奴ら やがて熱湯で茹でられ 傷つきやすい奴ら みんな茹で卵さ

ソフトウェア開発プロジェクトに残ること

ソフトウェア開発者として働いている。色々なプロジェクトに参画して、ソフトウェアを設計、実装、テストしている。 プロジェクトは3ヶ月程度の短期もあれば、何年も続くプロジェクトもある。参画する期間は、プロジェクトの都合や、場合によっては参画する…

コートの袖丈を詰める

このコートを買ったのは、スーツセレクトだと思い込んでいたので、川崎のスーツセレクトにコートを持ち込んだ。しかし、店員が言うには、うちのものではない、スーツカンパニーさんかもしれない、とのこと。それで自分は引き揚げたが、もう買った店を探すの…

夜の散歩(詩篇)

空気を切り裂くびゅんという音がした。釣り竿が深々と水を湛える鶴見川に伸びている。 岸辺には一台の自転車が留め置かれていて、釣り人のもののようであった。 ふん、と釣り竿を振るう音がして、また釣り糸が川の中央に投げられた。 満月を幾日か過ぎた月が…

夜の散歩(散文篇)

妻に頼まれて、セブンイレブンで以下を購入した。 パックの緑茶:4本 パックのジャスミンティー:2本 買い物袋を提げてセブンイレブンの自動ドアを出て、夜の駐車場の冷たい空気を浴びたとき、もうちょっと歩きたいと思った。 家に帰ると、買ってきたものを…

アイスクリーム 🍨

バスキン・ロビンスに入った。冬だからか、客は自分一人であった。 自分は壁に貼ってあるメニューを眺めた。どれにしようか。たくさん並ぶアイスの一覧を眺めて決めかねていると、店員が声を掛けてきた。 「味見は如何ですか」 手に一匙の、プラスチックのス…

砥石を手に入れた

研がないまま、ずっと包丁を使っていた。もうかなり切れなくなっており、「絶対必要以上の力が入っている」と自分で思っていた。新しい包丁が欲しいという気持ちがあるのだが、外で見かけて買おうとするたびに、「ちゃんと選んで買うべきだ」と妻に言われて…

「ファイナルファンタジー1 ピクセルリマスター」の感想

不思議と面白かった。 不思議というのは、探索と戦闘の繰り返しで、あまり頭を使わなかったからだ。 ただ、それは現代のRPGを知っているからで、昔はこれがすごかったらしい。 それから、ボスが弱いのが印象的だった。長期戦に備えて、攻撃力を上げる補助魔…

羽田空港から歩いて川崎へ行く

羽田空港で五代目花山うどんに入店し、妻とうどんを食べた。それから羽田空港内にあるレストランとお土産屋さんを巡った。何も買わなかった。 さて、我々は羽田空港を徒歩で出なければならない。何故なら歩いて家まで帰るからだ。 いつもだったら京急線に乗…

2025年の抱負

今年はいささか抽象的な抱負である。何かしら、できることを増やしたい。料理、語学、文章、家事。しっかりとできることを増やしていきたい。裁縫をできてもいいかもしれない。 そしてできることが増えたら、そのできることをやり、何かしら自分と人のお役に…

神楽坂

二年近くリモートワークで働いてきたが、先日ある打ち合わせで出社したところ、直接話した方が具合が良いとのことで、今後の出社を要請された。それならと快諾したが、水曜日は家事の為に在宅勤務とさせてもらい、水曜日以外の、月曜、火曜、木曜、金曜に神…

too new version

中国から夏休みを利用して日本に遊びに来た親戚は富士山に行きたがった。案内するのは吝かではない。ただ登るのは小さな子供もいて無理だと思い、五合目辺りでお茶を濁して、さあ帰ろうとなった時、高校生のトトが富士急ハイランドに行きたいと言う。なるほ…

勇者の告白(小説)

勇者「故郷の村が焼かれ、自分だけが生き残った。それで死に場所を求め、敵基地に飛び込む任務に志願した。そしたらたまたま成功した。それ以来、勇者と呼ばれ始めた。俺は自分だけが生き残ったから、死にたかっただけで、勇気などというものではなかった。…

香水の香り

マツモトキヨシだと思うが、妻が部屋やトイレに置く、匂いの出る物を買ってきた。それで、妻はそいつをあちこちに置いた。芳香剤と呼ばれるものである。 寝室にも一つ置いた。良く眠れるようになる、と言う。 いい匂いでしょう?と嗅がされた。うん、確かに…

太陽光発電モニターの故障

太陽光発電装置が家に設置され、その日のうちに発電が始まった。それはそれで良かったわけだが、設置工事のあとに、時計などの初期設定のためにモニターを開こうとしたところ、「電力検出ユニットまたはルーターを探している」という意味のメッセージが出て…

妻が家事をするようになった

結婚してすぐの頃は料理を作ってくれたり、買い物をしてくれたりした。 しかし、徐々にやらなくなり、「とりあえず結婚したしでやってみたが、飽きた」のかなと思った。 特に片付けはしなかった。私は片付けと掃除、洗濯、皿洗い、ゴミ出しなどをやった。充…

太陽光パネル設置工事②

足場の組み立ては家の外で完結するので、不在でも良いと言われていた。しかし、本丸の太陽光パネル設置工事は、在宅を要請されていた。鍵を開けて作業員を家に招き入れなければならないためだ。 朝早く、と言っても八時過ぎだが、我々遅起きの民にとっては早…

太陽光パネル設置工事①

朝早くから彼らは来た。 朝の八時過ぎに玄関のインターホンが鳴った。階段を降りて玄関に向かい、家の入口の扉を開くと、トラックが一台停まっていた。トラックの荷台には鉄の棒がたくさん積んであった。 「お早うございます」 と、自分は声を張って言った。…

インディーゲーム「おじいちゃんの記憶を巡る旅」の感想

最初、なんだこれはと思った。 山の峰を移動できて、お爺ちゃんが奥行きを無視して絵の中を移動できる。そして、ゴールっぽいところに辿り着くと面が進む。説明しづらいがそんなゲームである。 ストーリーはお爺ちゃんの若い頃の思い出を巡る作りになってい…

お肉の美味しい食べ方

あさくまステーキに行き、ステーキを頼んで食べたのだが、いまいち美味しくない。なんでだろう。こんなに高いのに。 お肉を焼いてそのまま食べても、自分はあまり美味しくない。これだったら、生姜焼きの方が旨い。 しばらくしてから、まだ外食の機会があり…

インディーゲーム「和階堂真の事件簿 TRILOGY DELUXE」の感想

最初はあまり面白くないと思った。 ■ 理由 ゲームとしての勝ち負けが殆どない。時間切れで主人公が死んだりしないし、謎が解けなくて何時間も悩むこともない。いわゆるゲーム性ってやつがないのだ。それでなんだかなと思った。 ■ どんなゲームか プレイヤー…

王子だった釈迦

仏教に入門する時、苦しみがきっかけになるのが当たり前とつい思ってしまう。何かに深く悩み、仏門に入る。それはそれで、確かによくある経路だとは思う。ただ、仏教を始めた釈尊の伝記で、初めは王子様で、何不自由ない暮らしをしていた、という話が出てく…