野狐消暇録

所感を記す

茶道研究会の勧誘

あるとき、お世話になったH先生からお電話があった。

大学のサークル「茶道研究会」の勧誘を手伝ってほしいとのことであった。

自分が休みを取り、大学に向かった。

別日に勧誘を行ったH先生の話では、寒かったと聞いていたが、その日の朝家を出る感じでは大分暖かかった。

大学は久しぶりで、キャンパスは建物が新しくなっていた。

中庭に長机がいくつも並び、サークル勧誘が行われていた。

自分はなかなか茶道サークルの机に辿り着けなかった。

N先生が来て、ようやく分かった。自分たちで看板を出すから、看板が出るまではただ机が置いてあるだけで、分からないのであった。

N先生とお話すると、自分が卒業するときに、卒業生でお金を出し合って買い、部に置いてきたお菓子器は、お茶会でよく使っているらしくて、とても嬉しい。朱と漆の、蓋がついているお菓子器で、縁に独楽つなぎの模様がある。N先生に「蓋を取って出すんですか?」と聞いたら、「蓋をしたまま出して、お客さんが自分で開くんです」と。そうだ、忘れていた、変なことを質問してしまった。もうすっかり茶道のやり方を忘れている。

同大S教授も茶道研究会OBで、今回のコロナ明けの、茶道研究会再立ち上げに尽力してくださっている。S教授とショートメッセージでやりとりしていて、自分が平日の昼間は働いていることを告げると、「そりゃそうだよね、仕事はあるわな」と言っていて、どうやら無職だと思ったらしい。「急な話でよく来てくれたと思った」と言われて恐縮した。暇がある身で、手伝いに来たのである。

茶道は、わざわざお金を払って家事をやるような、関心のない人には理解不能な芸能である。しかし、釣りにせよ、料理にせよ、プロには仕事だが、素人には楽しみであるような趣味はわりとあるわけで、別段珍しいというほどでなかろう。

自分はしばらく土曜日に茶道の手伝いに行くことになった。なんとも楽しみだ。