野狐消暇録

所感を記す

佛の一撃

妻の仕事の手伝いで荷物の梱包をしていた。
梱包の終わった荷物を量りに載せて、重さを量ろうとしたときだ。腰の辺りに痛みが走った。鈍い、捻挫のような痛みだ。「しまった、腰をやったかな」と思い、そっと体を元の姿勢に戻してみた。やっぱり痛い。痛みに耐えながら、苦労して立つには立ったが、膝に手を置いたまま、背を伸ばすことができない。困ったが、何とか一歩一歩歩いて、布団に辿り着いた。敷きっぱなしなので、敷く手間が省けたのは、不幸中の幸いである。
妻は「なぜ仕事中に腰を痛めるのか。日をずらしてもらいたい」とにべも無い。この野郎とは思ったが、悪態をつく元気が湧かないので、言い返さずに黙っていた。
一体明日の仕事はどうするか。できれば一日休みがほしい。昔ぎっくり腰になったときも、一日は休みを貰って寝ていたので、今回もできればそうしたい。
そんな事を思ったが、布団の上に座ってみると、意外と痛くない。
そうだった。座ると痛くないんだった。
それで座ったままの姿勢で、妻の仕事の手伝いを再開した。いくつか荷造りが終わり、そのうち集荷に呼んでいた郵便局員がやってきて、荷物を持って去っていった。
日が暮れていた。二人で夕飯を食べに行くことにした。モスバーガーに向かう道すがら、「魔女の一撃」という言葉を思い出した。これはドイツ語でぎっくり腰をそう呼ぶのだそうで、先程、布団で横になりながら、ぎっくり腰について調べたときに出てきたのである。
それで、自分はさながら佛の一撃だな、と思った。
それというのも、最近腰に負担を掛けたことが無いか記憶を探った所、座禅をしだしたことを思い出したのである。あれで腰を伸ばして、じっと何十分も座っていたから、腰がおかしくなったのであろう。
佛の一撃。
あまり仏様には似つかわしくない言葉だが、これも禅の手荒い歓迎なのかもしれない。

ソフトウェア・プロジェクトのスケジュールを見積もり値と実績値で振り返ったら色々な事が分かった。

■ 当初の目的

ソフトウェアプロジェクトのスケジュールに対する見積もりを改善する。

■ やったこと

ソフトウェアプロジェクトのスケジュールを作成したとき、当初予定の工数、つまり見積もり工数を記録しておく。プロジェクトが終わったら、実際にかかった工数を実績値として記録する。ここでは当初予定工数を100%としたとき、± 30%に収めることを目標にする。

例えば、10日間のスケジュールが実際には12日間かかったとすると、これは120%の実績値となる。この場合、当初予定の+20%なので、目標の範囲に収まったことになる。

■ どうなったか

実際にやってみると、200%を越えるスケジュール遅延が頻発していることが分かった。

〇 遅延の原因

  • 本番障害により、リリースまでにかかった時間と同じぐらいの時間が障害対応に費やされた。この時は一度のパッチで修正しきれずに、二回パッチをリリースしている。
  • 修正箇所のソースコードがスパゲッティ状態だったため、修正に予定の二倍の時間がかかった。
  • データインポートを実施したが、インポートしたデータに誤りがあったため、作業そのものがやり直しになった。

■ 成果

この分析により、ソフトウェア開発プロジェクトのスケジュール遅延には、理由があることが分かった。原因を分析する中で、以下の事柄が明らかになった。

  • 障害が起きやすい作業は何か
  • 障害の発生源になっているシステム上の箇所。特定の箇所が多くの障害を引き起こしている。

■ 結論

予定と実績の比較には意味がある。それはシステム上の問題を発見できるためである。スケジュール見積もりの改善にも役立ったが、何より問題が発見できたのが良かった。

■ 今後

スケジュールだけでなく、予算や作業についても、予定と実績の比較をしてみると面白いかもしれない。予算がオーバーした原因は何か? 作業が予定と違ったとして、それは何が原因だったのか? 色々と分かりそうである。

Nintendo Switch「Moonlighter」の感想

すぐに飽きるとの評価もあるようだが、僕はすぐには飽きなかった。4つ目のダンジョンあたりでやっと飽きた。それでしばらくほうっていて、最近プレイして最後までやった。そしたら、ダンジョンは4つ目が最後で、後は最終ボスとのバトルだった。

そう考えると、作り手の設計とプレイヤーである僕の感想は割といい感じにシンクロしていると思う。作り手もおそらく、このぐらいのボリュームで、繰り返しにならないプレイというのを考えたとき、ダンジョン4つぐらいという結論になったのだろう。ちょうどその4つで僕はプレイに飽きたのだから、作り手の想定通りの感想という事になる。

ゲームの内容は、紹介記事がWeb上にいくつも出ているので省略する。やってみて思ったのは、どこかで見たアイディアが上手に詰まっている、という感じだ。

敵の攻撃を避けるアクションと、敵を攻撃するアクションがあり、どちらも使いこなさないといけないようになっている。攻撃のモーションは一度始めるとキャンセルできなくて、一定の隙が生まれるようになっている。敵の種類も色々あり、サイズの大小、動きの違いなどで、闘い方に変化が生まれる。

ボス戦は、色々な攻撃パターンをボスがやってきて、面白かった。一度ボスを倒すと再戦できないのは残念だ。もう一度ダンジョンに入れば再戦できるようにしてほしかった。

このソフトは最後まで遊べたという点で、得をしたソフトに入る。途中でやめてしまったソフトが半数ぐらいあるから、僕には合っていたのだと思う。

『漢文入門』(魚返善雄著)を読んだ。

漢文には関心があり、漢文の読み方も、高校生のとき、少し習った。しかし、この本を読み、知らなったことをいくつも新たに知った。

■ 漢文は暗号

漢文は、中国人の自然な会話を書き取ったものではない。漢文は文章語である。昔は字を彫っていたので、語を節約するように努めている。そのため、中国人であっても、簡単に読めるわけではない。

■ 主題語と説明語

漢文の先頭に来る語は主題であることが多い。その主題を続く語で説明する。主語、術語、目的語という英語の文法を漢文に当てはめて理解しようとしてもうまくいかない。

■ 漢文は孤立語

漢文には「てにをは」がない。また、英語にみられるような語尾変化もない。石ころがゴロゴロ並んでいるような具合である。そのため、文章の意味がひとつに定まらないことがある。

著者の理解で関心したのは、「中国人の考え方にとって自然なことは何か」ということを含めて漢文を解釈しようとしていることである。漢文では、主要なことをまず挙げ、続いてその主題を後段で説明するようになっているらしい。著者はそういう、文章を書く者の発想、思想を捉えて文章を読もうとしている。これは本当に理解するという営みであろう。

著者の本を他にも読んでみたいが、電子化されているものは少なそうなので、図書館で借りて読もうかと思う。

2019/05/27

  • マイペースということは、周りの影響を受けずに自分のペースで歩むことを指すが、否定的に言われることもある。しかし、自分のペースで歩むことは望ましいことだ。
  • 形に囚われず、なすべきことをなすべきだ。学校に行っていないから、あるポジションに自分がいないから、そういうことは皆くだらない囚われなのだ。なすべきことをなすことが大切だ。今できることは常にあるのに、それがみえなくなってしまうようではダメだ。
  • 「持ち物」を気にしすぎてはダメだ。持ち物はお金のときもあるし、健康のときもある。家族かもしれない。持ち物ばかり気にしていては何もできない。気にしないことだ。

観覧車

観覧車に乗ったら、ロマンチックな気持ちになるのではないか、と妻は考えていたそうである。実のところ、自分もロマンチックとまではいかないでも、観覧車は楽しい乗り物だと思っていた。

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横浜コスモワールドの大観覧車「コスモクロック21

それがどうだろうか、乗ってみてすぐに怖くなった。何しろ、観覧車の人が乗る部分は、上から吊られているのである。これが怖い。足の下には何の支えもないのだ。妻も怖くなったようで、設置されていたタブレット端末を触って、「これを見ていれば怖くないはず。これを見よう」と、早くも怖さを紛らわせる方法を探してきた。

それでちょっとタブレットを触ったのだが、せっかく乗ったのに勿体ないという気がして、景色を眺めてみた。実際、観覧車というのは、中で何もすることがなくて、外の景色でも見るしかないのだ。しかし、ずっと怖い。

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眼下の景色を眺める。

やっと下に降りてくると、心からほっとした。こんなに観覧車が怖いとは思わなかった。妻は「二度と乗らない」と云った。僕も賛成だ。もう乗らなくていいだろう。

こんな怖い乗り物にわざわざお金を払って乗るなんて、どうにも意味が分からないことである。