野狐消暇録

所感を記す

『漢文入門』(魚返善雄著)を読んだ。

漢文には関心があり、漢文の読み方も、高校生のとき、少し習った。しかし、この本を読み、知らなったことをいくつも新たに知った。

■ 漢文は暗号

漢文は、中国人の自然な会話を書き取ったものではない。漢文は文章語である。昔は字を彫っていたので、語を節約するように努めている。そのため、中国人であっても、簡単に読めるわけではない。

■ 主題語と説明語

漢文の先頭に来る語は主題であることが多い。その主題を続く語で説明する。主語、術語、目的語という英語の文法を漢文に当てはめて理解しようとしてもうまくいかない。

■ 漢文は孤立語

漢文には「てにをは」がない。また、英語にみられるような語尾変化もない。石ころがゴロゴロ並んでいるような具合である。そのため、文章の意味がひとつに定まらないことがある。

著者の理解で関心したのは、「中国人の考え方にとって自然なことは何か」ということを含めて漢文を解釈しようとしていることである。漢文では、主要なことをまず挙げ、続いてその主題を後段で説明するようになっているらしい。著者はそういう、文章を書く者の発想、思想を捉えて文章を読もうとしている。これは本当に理解するという営みであろう。

著者の本を他にも読んでみたいが、電子化されているものは少なそうなので、図書館で借りて読もうかと思う。