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野狐消暇録

所感を記す

鶏の足を食う

随筆

ある日の夜、フェンが僕にこう聞いた。

「鳥の足あるよ。ゆうゆ鳥の足食べるか」

ゆうゆというのは、フェンが僕を呼ぶ時の呼び名である。

「いいよ」

僕は断った。

鳥の足というのは、中国で食べる物で、鶏の後足を甘辛い味付けで煮て、足指のひとつひとつの周りに付いている皮を食べるのである。味と食感は、焼き鳥の皮を思って貰えれば正しい。

確かに味は美味しいが、ちょっとグロテスク過ぎて、自分は食べる気がしないのだ。

鶏肉は鍋にすると美味しいが、鍋にする鶏は、鶏が生きていた時の原形をとどめていない。しかし、これは指や指の節の形がはっきり残っているのできつい。それでも、山東済寧市を訪れた時には、「これも経験だ」と思って食べたのである。その時に一緒に出たトサカは流石に食べられなかった。「これも経験だ」とは思えなかったのだ。経験したくなかった。

一晩寝て起きて、冷蔵庫を開くと、クリスマスチキンのような、骨付き鶏もも肉が入っていた。

「鳥の足というのは、この事だったのか」

僕は合点した。

そして、夜、「鳥の足」を食べた。

足というのは、部位を示す言葉であるが、その指示する範囲は広い。フェンにそれを教わった。