野狐消暇録

所感を記す

はぐれてしまった話 [小説]

「確かこの辺だった」

僕は機械を操縦して、宇宙ステーションの外側から、機体がひとつだけ通れる程度の穴を覗いた。その窪みに入ってみると、確かにここにいたと思う。

「どこに行ったのだろう」

一緒に戦ううち、戦友とはぐれてしまった。爆風に飛ばされ、慌てて退避したのは良かったが、それ以来互いに通信できていないのだ。

「はぁ」

僕は溜め息を吐いた。