野狐消暇録

所感を記す

日本大学文理学部茶道研究会の2020年初釜

人が多かった。廊下まで人が溢れていた。緋色の絨毯が敷かれた待合も、一席入った後は入れなかった。諸先輩方とゆっくり話すには、やや混んでいたので、早々に帰ることにしたが、今年は例年と違って、K君に会えたのが嬉しかった。K君は、もう何十年かぶりにお茶会に来たという。僕は毎年出席しているので、年ごとに少しづつ変わってきた様子を知っているけど、K君からしたら、卒業して以来なので、変化を感じたらしい。

「お道具も増えたよ」

僕はK君に教えた。実際、数茶碗は僕の卒業後に購入したもので、ちょっと素敵な柄であった。前回の櫻門茶会で一緒だったT君もいくらか遅れてやってきて、三人で旧交を温めた。

大勢の人と言ったが、これが受験会場なら若い人ばかりだし、会社なら男性中心で、おじさんが多かったりするが、茶道研究会の初釜には、若い学生から、お年を召した先生までいて、男女比もおおよそ半々である。それが自分にはなんとなく嬉しい。社会の成員が満遍なく、みんな参加している気がするのである。

お歳を召したと言えば、K先生はもうだいぶお歳だが、弱ってきたとのお話で、心配であった。

お茶会の席で口にするのは失礼にあたると思うけど、OBの図々しさでちょっと言ったことがある。それは畳が張り替えたい頃合いだということである。あんなにすり切れた畳でお茶の稽古をしているのか。お茶室を出た、サークル棟の廊下でもちょっと話したけど、OBでお金を出し合えば、畳の張り替えぐらいはできると思う。あと、あの破れ放題の障子も張り替えたいものだ。I先輩曰く、一度張り替えを試みたが、普通の障子と仕組みが違うそうで、断念したという。畳も障子も大学の備品だそうで、事務に古くなったから張り替えて欲しい旨は伝えたそうだが、まだ張り替えてくれないのだそうである。備品というのはありがたいが、気軽に新調できないのが歯がゆい。

さて、お茶会が終わった後、久しぶりに会ったT君とK君と連れ立って、どこかで食事をすることにした。日本大学文理学部の構内をぐるっと散歩してから、明大前まで散策したあと、明大前から電車に乗って新宿に行き、新宿西口の居酒屋に入った。T君がお酒好きなので、お店の選定はT君に任せた。

お店に入って、お酒を頂いて談笑しているとき、ふと妻の事が気になり、スマートフォンを取り出して見てみた。すると、電話が20回ぐらいかかってきている。wechatも届いていて、怒っているらしい。二人にそう告げると、「早く帰った方が良い」という話になった。それで先に居酒屋を出て、帰ることにした。

最後はちょっと慌ただしくなってしまったが、楽しい日になったと思う。妻には以下の写真を送ったら、誤解が解けたようで、怒りを鎮めることができた。

f:id:nogitsune413:20200125183835j:plain

T君、K君と旧交を温める。